命金

命金(いのちがね)制度を採用している。

制度なんて大層なものではないけど、財布の中にもしもの時のための千円を折りたたんで忍ばせている。

今日も、昼食を食べに食堂へ行って、いざお金を払おうとしたら財布の中がすっからかんで「やべ!」と思ったが、そこは命金。財布の奥から折りたたんでぺったんこになった千円札を取り出し、なんとかセーフ。

この命金に救われたことが今まで何度もあって、例えば電車賃、例えば食料、例えばどうしても欲しいモノを唐突に見つけてしまった時など、財布の奥の野口さんはいつでも僕に笑いかけてくれた。

ところが時々、使い終わった後のお金の補充を忘れることがある。

命金があるからヨユーヨユーと調子こいてると、「そ!そういえばこの前使ってしまったんだったあ!」というような事態も起こる。

そうすると家に帰れなくなったり、腹をすかしてひもじい思いをしたり、欲しいモノとの運命的な出会いを逃してしまったりする。

命金はとっておきにして、普段は無い物として考えている方がいい。