夏の小学生

さあ、さあ、さあ、夏だね、どうも。夏だよ、どうも。小学生たちはもう真っ黒だよ。いいね、どうも。あの黒さはね、人を元気にさせる。思い出すなあ、小学生の日。あれは、そうだ。家の隣に住んでいたイッコ上の仲良し、トシくんが仲間でクワガタを捕りに行くっていうんで、ぼくも連れてってとせがんだ時のことだ。

「お母さんに許可をもらってきたらいいよ」とトシくんが言うので、家に戻っておかんに「行ってきていい?」と聞いたら、おかんはぼくの夏休の宿題が終わっていないことを理由に「ダメ」と言って許してくれなかった。ぼくは玄関で大泣きしたんだ。「帰ってきたら、絶対やる」って言っても許してもらえなくて、泣き叫んでいるうちに仕事を終えた親父が帰ってきて、「男の約束だぞ」って許してくれた。

それで、喜んでトシくんちに飛んでいったら、もうトシくん達はいなくって。

また泣きながら家に戻ったら、親父がぼくを連れてってくれた。

「どこなんだ?」と親父が言うから、ぼくは「丸墓山」と答えた。丸墓山というのはカブトもクワガタも捕り放題だけど、幽霊が出るというので、仲間内では恐れられている伝説的な場所で。

小学生の夏休みの夜、親父とぼくは、その伝説的な場所にクワガタを捕りに行った。親父が大木を蹴るけれど一匹も捕れなくて。「おかしいね」って話しながら帰ってきたんだった。